• テキストサイズ

もう一人の女医 【文豪ストレイドッグス】

第10章 在りし日の…



ポートマフィア本部・二階 通信保管所


元自分の部屋から脱出したのは良いが、治を探す前にひとつ、気になっていた所へ立ち寄った。
以前、芥川君が云っていた、敦君に70億もの懸賞金をかけた人物を調べるためだ。

機械を弄っていると、背後から人の気配が、それも段々近づいてくる。
触れられる直前の所で相手の腕を取り、後ろで捻りあげる、が…

「痛い痛い痛い痛い痛い痛いッッ!!私だよ茉莉ッ!」
『わぁ、ごめん、治だったんだ』

相手が誰だかわかった所ですぐに手を離す。
探していた太宰治その人だった。

「いててて…せっかく情緒的な再会にしようと思ったのに夢がないなぁ 茉莉は…」
『情緒的って、何しようとしてたの?』
「眠っている君を接吻して起こそうかと(笑」
『折角、私が助けようと思ってたのに…』
「君は何でそんなに男気があるんだか(苦笑
…敦君に懸賞金をかけた人物を調べていたのかい?」
『うん…と云うか、その傷どうしたの?』
「あぁ〜、久しぶりに中也に会って嫌がらせしてきた」

あぁ、納得した…

『程々にしてあげなよ?そろそろ中也の胃に穴が空いてもおかしくないよ』
と機械を弄りながら話を続けるが、

「本当に君は優しいね…
君に無理強いさせた相手に気を使えるなんてね」
太宰からの皮肉に一瞬、動きが止まる。

『…皮肉屋なのは昔から変わらないね、治は。別に私はあの件で怒ってはない、私だって悪かったんだ。中也にそこまで罪はない』
「………そっか、君がそう云うのなら私は何も云わない様にしよう。
所で、出たかい?」

『出たよ、敦君に懸賞金を掛けた人物………
ーー治、此れって』
「?……ッ此奴等は⁉︎」


****

ヨコハマ港沖、敦と芥川による戦闘によって沈みかけたコンテナ船。よりもさらに沖に浮かぶ一艘の豪華なクルーズ船。遠くに見える湾岸都市・ヨコハマを眺めながら、時計を見る男が一人。

「…時間だ。島国の田舎マフィアめ、約束の時間も守れないとは、とんだはんちくだな。
まあいい、【約定の地】は我ら《組合》が必ず頂く」



能力者集団《組合》・団長
フランシス・F
ーー能力名「華麗なるフィッツジェラルド」

/ 61ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp