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もう一人の女医 【文豪ストレイドッグス】

第9章 うつくしき人は寂として石像の如く



一方、ポートマフィア本部地下・捕虜室


♪〜 ♪♪〜

ジメジメとした薄暗い地下室に合わぬ陽気な鼻歌が響く。
鎖で壁に括り付けられた太宰だ。

なんとも愉快そうに口遊む太宰とは裏腹に、苛ついた様子で芥川が室内へと入ってくる。
此方に気付かぬ様子の太宰の首に、能力である羅生門で刺す。が、当然太宰の能力無効化の所為で傷一つつかない。


「…ああ、君いたの」
「此処に繋がれた者が如何な末路を辿るか、知らぬ貴方ではない筈だ。
貴方の罪は重い。突然の任務放棄、そして失踪、剰え今度は敵としてマフィアに楯突く、とても元幹部の所業とは思えぬ」
「そして、君の元上司の所業とは?」

我慢が出来なくなったのか、芥川は太宰の顔面を容赦無く殴る。

「貴方とて不損不滅ではない、異能に頼らなければ毀傷できる、その気になれば何時でも殺せる」
「そうかい 偉くなったねぇ
今だから云うけど、君の教育には難儀したよ。呑み込みは悪いし独断専行ばかりするし、
おまけにあのぽんこつな能力!」

「…ッ、貴方の虚勢も後数日だ、数日の内に探偵社を滅ぼし人虎を奪い、茉莉さんを連れ戻す。
貴方の処刑はその後だ」

「?何故彼女だけ、連れ戻すのかな」
「…先日 上からの勅命により、茉莉さんを連れ戻せとの下命が降りました。四年前の貴方の行動について、首領は大変お怒りでした」


彼の人がねぇ…
今迄、彼女に散々な思いをさせてきたのに何を今更…


「まぁ、できるかなぁ 君に
ーー私の新しい部下は君なんかより よっぽど優秀だよ」


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