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もう一人の女医 【文豪ストレイドッグス】

第9章 うつくしき人は寂として石像の如く




目を開けると、見慣れぬ天井が…
正確には、見覚えのある天井があった。

寝台の上で、丁寧に布団まで掛けられている。
手足は問題なく動く、拘束もされていない。
ただ、眠らされる前に殴られた腹が痛む。

まぁ大して問題は無いだろう、と思い布団を退け体を起こす。やっぱり見覚えのある部屋だ。

『…四年前と変わってない』

昔と全く変わらず、それどころか埃すら被っていない、四年前まで私が使っていた部屋だった。


と云う事は、此処はポートマフィア本部か。


未練もないし、さっさと出ようと下駄を探すが一向に見当たらない。鼻緒が切れていたし、捨てられてしまったのだろうか。
あの下駄意外と気に入ってたのに…

『これで良いか』

棚にあった以前履いていた編み上げのショートブーツを履く。
サイズが変わっていなくピッタリで良かった。

『さて、脱出も兼ねて、治も探すかな』

何処から探そうか、本部は広いし、裏切り者である彼を入れておくとしたら、地下の捕虜室だろうか。
この部屋から地味に遠いんだよな、人に見つからずに行くとなると余計に遠くなる。


背に腹は変えられないけどね

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