第8章 人を殺して死ねよとて
漸く応急処置が落ち着き、敦くんのいる後部車両へ向かっている時だった、車両から女の子が落ちる。肌蹴た一枚目の着物の胸元には爆弾が付いている。
少女目掛けて足を虎化させた敦くんも電車から飛び出し、彼女に付いていた爆弾を引きちぎり空へと投げる。
『敦君ッ!』
ものの数秒で爆弾は爆発し、二人は川へと落ちた。
『ッ『山椒大夫』二人を救助して』
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ー敦目線ー
川の中、女の子を抱えながら岸を目指して泳ぐ。しかし、彼女は小柄だが着物のせいか少し泳ぎ辛い。
(正直僕も体力が限界だ、このままでは溺れて二人ともッ…)
フワッと、一瞬体が軽くなった。振り向くと、女の子の能力とはまた違う、もう一人の夜叉が僕らを抱えながら岸を目指している。
漸く岸に辿り着くと夜叉は消えてしまったが、女の子は無事だった。
無事だとわかって安心したのか、僕の意識はここで途切れた。
ー敦目線 終ー