第8章 人を殺して死ねよとて
ー太宰目線ー
『今夜、久々に何処か食べに行かない?』
夕方、探偵社に戻り、家へ帰ろうとした時だった。
残りの事務仕事を片付ける為社に残ると云っていた彼女がそう私を呼び止めた。
久々の、然も彼女からのお誘いに柄にもなく動揺してしまったが、それと同時に嬉しかった。
彼女に渡したい物もあったし、この際に渡そう。
贈り物を持って、待ち合わせの場所まで行く途中だった。
外套を引っ張られ、ふと目線を向けると赤い着物を着た少女が一人。
「え?…私?」
小さく「見付けた」と呟くと、少女の異能だろうか。
「……これはまずい」
ー太宰目線 終ー