第7章 Murder of D Street 後編
犯人は杉本巡査だ、と云う乱歩さんを嘲笑う箕浦さんに対して断固犯人だと云う乱歩さん。
「莫迦を云え、大体こんな近くに都合良く犯人が居るわけないだろ」
「犯人だからこそ捜査現場に居たがる
杉本君、拳銃貸して」
「ば、莫迦云わないで下さい、一般人に官給の拳銃を渡したりしたら減俸じゃ済みませんよ!」
「その銃を調べて何も出なければ
僕は口先だけの阿呆ってことになる」
「杉本 見せてやれ、ここまで吠えたんだ納得すれば大人しく帰るだろう、これ以上時間を無駄にはできん、銃を渡してやれ」
しかし杉本巡査は無言で立ち尽くすばかり、微動だにしない。
「彼は考えている最中だよ
減った三発分の銃弾についてどう言い訳するかをね」
顔を真っ青にしながら静かに自分の拳銃囊から拳銃を取り出し、鉄撃を起こし乱歩さんに銃口を向ける杉本巡査。
治に押された敦が彼にぶつかりそのまま組み伏せる。
「放せ!僕は関係ないッ‼︎」
「逃げても無駄だよ
犯行時刻は昨日の早朝、
場所はここから140米上流の造船所跡地
そこに行けばある筈だ、君と被害者の足跡が
消しきれなかった血痕も」
苦い顔をしながら箕浦は杉本の腕に手錠を掛ける。
「…続きは職場で聞こう、お前にとっては元職場になるかも知れんが」