第7章 Murder of D Street 後編
「痛い、本当に痛い」
『自業自得でしょ』
痛む頭をさすりながら起き上がる太宰。そして御遺体の女性を見るとまたもや…
「何とかの如き佳麗なるご婦人が若き命をちらすとは!何という悲劇!悲嘆で胸が破れそうだよ!」
こいつ懲りてねぇな……
と内心で再び先程の怒りが吹き戻って来る。
流石の刑事さんも引くほどだ。
「……誰なんだあいつは」
「同僚である僕達にも謎だね」
「しかし安心し給えご麗人、稀代の名探偵が必ずや君の無念を晴らすだろう!
ね、乱歩さん?」
「ところが僕は未だ依頼を受けていないのだ
名探偵いないねぇ、困ったねぇ」
と溜息まじりで周囲を見渡す乱歩さん。
すると、ふと目に止まった警官に指を指す
「君、名前は?」
「え、自分は杉本巡査です。殺された山際女史の後輩であります」
「よし杉本君、今から君が名探偵だ!60秒でこの事件を解決しなさい!」
「へぇッ⁉︎」
乱歩さんの無茶振りに慌てふためく杉本巡査。
ふと、彼の腕時計が眼に入る。
(何処かで見た事がある様な…)