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もう一人の女医 【文豪ストレイドッグス】

第6章 Murder of D Street 前編


確かに網に人が掛かってたら誰だって驚くのが当然だが、なんとなく引っかかってる人物に見当がつく…

そう思いながら引き上げられた網の方を見ると、掛かっていた太宰が宙吊りになっていた。


「やあ敦君、仕事中?おつかれさま。そして茉莉!今朝ぶりだね♪」
『朝っぱらから何処に行ったのやらと思っていたら…』
「ま…また入水自殺ですか?」

また?と後ろで箕浦刑事が眉間に皺を寄せ疑問に感じているのをよそに太宰は宙吊りのまま話始める。

「うふふ、独りで自殺なんてもう古いよ敦君。
前回美人さんの件で実感したよ、やっぱり死ぬなら心中に限る!独りこの世を去る淋しさの何と虚しいことだろう!」

と太宰以外の現場に居る一同冷めた目で宙吊りになって居る変質者を見る。

「というわけで茉莉、一緒に心中しよ」


『治』

「何かな?」

和かに笑う太宰に対して堪忍袋の尾が切れた私は

『前に人様に迷惑だけは絶対にかけるなって、私云ったよね、ちょっとおいたが過ぎるかな』

と和やかだった笑みが引きつった笑みに変わり、冷や汗をかきはじめる太宰、さらに私の手元を見てこれから自分の身に起こる事に感づく。

「え〜と、茉莉、一応聞くけど、メスなんか構えて何する気かな?(汗」


『お仕置き』


と云うと同時に構えてたメスを網に絡まってた太宰の足元目掛けて投げる。

見事に網が切れ、宙吊りになっていた太宰はそのまま落ち、地面に脳天を叩きつけた。

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