第6章 Murder of D Street 前編
御遺体の女性は今朝川を流れている所を発見され、胸部を銃で三発撃たれており、それ以外は不明。
『敦君、これ持ってて』
「は、はいッ」
バサッと外套を脱ぎ敦に渡し荷物から白衣変わりに使っている割烹着を身に着け、遺体を診る。
『見る限りで、致命傷は胸部の銃痕ですね、撃たれた後でも息がある状態で川に流されて溺死でしたら、肺の中の空気と溺水が混じり合って、白く泡立って口や鼻から溢れ出すはず、彼女は亡くなった後に川に流さた様ですね』
「殺害現場も時刻も、弾丸すら貫通しているため発見もできていない」
「で、犯人は?」
「判らん、職場の様子を見る限り特定の交際相手をいないようだ」
「それ、何も判ってない、って云わない?」
「だからこそ素人あがりの探偵など任せられん」
箕浦本人が頼んでないにしても依頼して来たのは警察側なのに、その発言は可笑しいのでは、と云おうと立ち上がろうとすると、乱歩さんに制される。
「茉莉ちゃん、こっちは大丈夫だから君は君の仕事をしなよ」
『…敵わないね、乱歩さんには』
すると証拠が流れていないか川に張っていた網に何か掛かったらしく警官達が引き上げていると
「ひっ人だァ!人が掛かったぞォ!」
「何だと!」
「まさか、第二の被害者⁉︎」