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もう一人の女医 【文豪ストレイドッグス】

第6章 Murder of D Street 前編




『驚いた、って顔をしてるね敦君』

探偵社を出て現場へ向かう途中の列車内。

「はい、本当に驚きました。切符の買い方、改札の通り方、ホームの場所、本当に解らないなんて。異能力を使わないと乱歩さんって何も出来ないんですね」
『素直だけど酷い言い様だね(笑』


「ところで、何故茉莉さんも一緒に?」
「決まってるじゃないかー、僕が茉莉ちゃんと一緒に居たいからだよ」

さも当然のように答える乱歩。

『…私は検死の依頼で、乱歩さんが探偵の依頼、たまたま同じ現場になっただけだよ』
「まぁ本音を言うなら、今日は太宰が居ないから茉莉ちゃんを独り占めしたいだけなんだけどね(笑」


「そ、そうですか…」



***

「遅いぞ探偵社!」

現場では既に警察が捜査を開始させており、時間に遅れた自分たちに刑事の男が怒鳴った。

『すみません、社を出る直前に一悶着あったもので』
「ん、きみ誰?安井さんは?」

乱歩さんが依頼を受けた人物がいない事を尋ねる。
「俺は箕浦、安井の後任だ
本件はうちの課が仕切る、貴様ら探偵社は不要だ」

「莫迦だなぁ、この世の難事件は須らく名探偵の仕切りに決まってるだろう?」
「フン、抹香臭い探偵社など頼るものか」
「何で」



「殺されたのが、俺の部下だからだ」


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