第6章 Murder of D Street 前編
仕事に誘ってくれたのは嬉しい限りだ、が
『乱歩さん、私別の依頼が入ってますのでちょっと…』
「依頼って検死依頼でしょ?殺人事件の」
…なぜ分かった、と聞きたいところだが乱歩さんだからと直ぐに納得する。
「僕の超推理に掛かれば其れ位わかるよー、
国木田くーん、僕そろそろ“名探偵”に行かないと」
「名探偵?例の殺人事件の応援ですか」
「そう、警察がね世界最高の脳力を持つ名探偵、乱歩さんの助言が欲しいって泣きついてきてさ」
「こいつに手伝わせます
小僧、ここはいいから乱歩さんにお供しろ、現場は鉄道列車で直ぐだ」
今までポカンとしていた敦が声を掛けられハッと現実に引き戻る。
「ぼ、僕が探偵の助手ですかッ⁈」
「まさか、二流探偵じゃあるまいし、助手なんて要らないよ…
あ!でも、茉莉ちゃんが助手してくれるのなら大歓迎だからね!」
と話を振るが
『国木田さん、私も依頼が入ってますので出ますね』
和装用の外套を羽織りそさくさと事務所を後にしていった。
「……え、茉莉ちゃん待って!早い!」
彩の後を追い乱歩も事務所を後にする。
「………取り敢えず、二人について行け」
「わ、わかりました(汗」