第5章 運命論者の悲み
一方、敦は街に響き渡る銃声に来た道を急いで引き返していた。
「やめろっ!」
漸く探偵社に戻った敦が見たのは、特殊部隊並みと名高いはずの武闘組織が全員伸びている光景だ。
「おお、帰ったか」
と敦に話しかける国木田。
下にいる広津を組み伏し腕をゴキッと捻り上げながら普通に話を進める。
「勝手に居なくなる奴があるか、見ての通りの散らかりようだ、片付け手伝え」
奥では笑顔で構成員を摘みながら少年・宮沢賢治は
「国木田さーん、こいつらどうします?」
「窓から棄てとけ」
とビル4階の高さから外へ放り投げる。
…うん、知人としては心痛いばかりだが、此ればかりは仕方ない。
でも、人って気絶する直前の事ってあまり覚えてないとも言うけれど、不安要素が残るばかりだなぁ。
四年間も良く見つからずにいたな…そこは治に感謝しないとね
などと考えていると目の前には
「茉莉ちゃん、何してんの?」
『ッ⁈』
乱歩さんの顔が目の前にあった。
然も、かなり近い。
『何ですか、乱歩さん。てか、顔近いです』
「相変わらず恥ずかしがっているのに真顔なんだねぇ(笑)
其れはそうと、行くよ」
『何処へです?お菓子なら昨日買いましたけど』
何か買い忘れてたのかな⁇
「はっはっ 違うよー
本当に変な所で抜けているなぁ 茉莉ちゃんは(笑)
ーー“名探偵”の仕事だよ、付き合って」
………あぁ、そっちか←