第4章 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス
小型イヤホンで三人の様子を聴きながら買い出しを終え探偵社に帰る途中で動きがあった。
依頼者の女性こと、ポートマフィア構成員の樋口一葉が発砲しナオミちゃんが重症。
更には駆けつけたもう一人のポートマフィア
芥川龍之介
ーー能力名「羅生門」
によって、谷崎君も重症。
ぅん、樋口さんだけならよかったけど、芥川君まで来られると少し部が悪いね。
とりあえず現場へと急ぐ。
***
現場へ急いだものの、そこには既に太宰が上から飛び降り自分の異能で芥川の能力を消し、虎に扮していた敦を元に戻していた。
「貴方、探偵社の!何故ここに⁉︎」
「美人さんの行動が気になっちゃう質でね、
こっそり聞かせて貰った^ ^」
と太宰が自分の懐から先程付けていたヘッドホンを取り出すと、樋口はポケットを探り盗聴器を取り出す。
「では最初から、私の計画を見抜いて…」
「そゆこと(笑
ほらほら起きなさい敦君、三人も負ぶって帰るの厭だよ私」
「ま、待ちなさい!生きて帰すわけには、
ーーッ⁈」
『樋口さんだっけ、動かない方が身の為だよ?』
片手で樋口の手を後ろ手に掴み、もう片手で頸動脈付近に持っていたメスをあてがう。
「あ、貴女はさっきの給仕の⁉︎
(いつの間に後ろに⁈全く気づかなかったッ)」
「くく……くくく、止めろ樋口。お前では勝てぬ」
「芥川先輩!でもッ!」
咳をしながら芥川は続ける。
「太宰さん 茉莉さん、今回は退きましょうーしかし、人虎の首は必ず僕らマフィアが頂く」
『なんでかな?』
「簡単な事、その人虎には闇市で七十億の懸賞金が懸かっている、裏社会を牛耳って余る額だ」
『それはまた、景気の良い話だね』
「探偵社には孰れまた伺います。その時、素直に七十億を渡すなら善し、渡さぬならー」
「戦争、かい?探偵社と?良いねぇ 元気で
やってみ給えよーーやれるものなら」
「……ッ零細探偵社ごときが!我らはこの町の暗部そのもの!たかが十数人の探偵社ごとき、三日と待たずに事務所ごと灰と消える、我らに逆らって生き残った者などいないのだぞ!」
「知ってるよ、その位」
ーーそうだ、十分知ってる。
「然り、外の誰より貴方方はそれを悉知している
ーー元マフィアの太宰さん、茉莉さん 」