第1章 出会い×別れ
受験生312名が、ヌメーレ湿原へと突入した。ぬかるみがすごく、さらに志望者を苦しませる。
セレナ
「霧がでてきた…ヒソカ、前に行かないと試験官見失う…」
こいつまた…。霧に乗じて殺すつもりみたい。殺気がハンパない。
セレナ
「ヒソカ、わたし前へ行くよ。わたしも危険人物扱いされたくないからね。」
ヒソカ
「えーセレナ一緒にいなよ♦︎楽しいのに♠︎」
セレナ
「止めてもいいなら一緒にいるけど?」
ヒソカ
「んー、それはそれでアリかも…♥︎」
セレナ
「はぁ……、わたし行くよ」
ヒソカ
「わかったよ♦︎またあとでね♣︎」
少しスピードを上げて前の塊へ追いつく。一段と霧が濃くなり出し、前を走る人ですらかすんでいる。前がはぐれたらわたしもはぐれることになる。
後ろから、悲鳴がちらほら聞こえてくる。そのうちの誰かはきっとヒソカにやられているんだろう。まあ、わたしの知ったことではないのだけれど。
セレナ
「って、え?!?!ちょ、わぁあっ!!!!」
ドシン
セレナ
「イタタ…な、なに??」
「ご、ごめんっ!?大丈夫?!?!ケガとか、ない??」
モヤがかって見えにくいけれど、頭はツンツンしているから、さっき見た同い年くらいの男の子だろう。
けど、明らか逆走してきた感じだった。
セレナ
「へ、ヘーキ…大丈夫。」
ツンツン頭の子
「ほんと?!ごめんね、オレ、急いでて、友達が……」
かなり慌てているらしい。
セレナ
「わたしは大丈夫だから、早く行ってあげて、ね?」
ツンツン頭の子
「ほんとごめんね!ありがとう!!」
どうしてお礼を述べられたのかわからないが、その子は後方へ物凄い速さで駆けていった。
しかしわたしも、これではぐれた同然だった。
周りは濃い霧で、悲鳴ばかり聞こえる。
セレナ
「ど、どうしよう……参っちゃったなぁ……はぐれちゃった。いや、さっきの子が逆走してたってことは、その子が走ってきた道辿れば…ちょうど土もぬかるんでるから足跡くらいついてるだろうし……よし」
意を決してわたしは足元だけを見て走り出した。