第2章 暴走×逃走
謎の男(リッポー)
「……なぜそう思う?」
セレナ
「『お前の回答次第では』って言ったから!
だからわたしがゼロと答えれば、扉のない道を教えてくれるんじゃないかって」
そう大真面目に答えたのにも関わらず、スピーカーから聞こえてくるのは盛大な笑い声。
セレナ
「ちょっと!失礼じゃないの?!人が真面目に答えてんのに!!」
謎の男(リッポー)
「いや、面白いやつだ。わかった、教えてやろう」
まだちょっと胸にモヤモヤが残る。
なんというか、不服というか、つまりそんな感じである。
まあ、教えてやると言ってくれているのだ、ここは信じるとしよう。
セレナ
「はやくはやく!」
謎の男(リッポー)
「まぁ、ゼロではないが…」
セレナ
「はぁ?!?!回答次第ではって言ってたじゃん!!!!詐欺だ!詐欺!!!」
謎の男(リッポー)
「そういう意味で言ったんじゃねーーよアホ!!!人を詐欺師呼ばわりすんじゃねーよ!!!」
セレナ
「アホって言った!!アホって言ったよこの人!!!そんままそっくりくりそつにブーメランにして返してあげるわ!!!」
謎の男(リッポー)
「そっくりもくりそつも一緒だよ!!!!」
––五分後––
セレナ
「ハァ…ハァ……この…アホバカボケナスオタンコナス……さっさと、教えなさいよ……」
謎の男(リッポー)
「ゼェ…ゼェ…このアマ…が…」
肩で息をしながら、キッ、とスピーカーを睨む。
謎の男(リッポー)
「ラチがあかねぇ……いいか、よく聞けよ…」
やっと教えてくれるそうで、一安心。
ホッ、と胸をなでおろす。
わたしは、この時気づかなかった。
このスピーカーの向こうの男の、息を吸うことを。
謎の男(リッポー)
「…右左右右左右左……以上だ」
セレナ
「わかるかぁあああああ!!!!
なにその呪文!?なに呼び出す呪文なの?!エッ、新たな扉?!?!どこでも○アですか?!?!」
謎の男(リッポー)
「………ピー、コノスピーカーハ、ゲンザイ、ツカワレテオリマセン。わかったら早く行けェ!!!」
ブツンッ、と今度は本当に接続が切れたらしい。
わたしは、握りこぶし携えて、こう、叫んだ。
セレナ
「右左右右左右左じゃボケェエエエ!!!!!」