第2章 暴走×逃走
さて、問題です。
狭くて何もないおまけに薄暗くてじめじめした部屋に、5時間放置されたら何をしますか?
『5時間』
日常生活を送る中で、この時間は長いような、短いような気もさせる。あくせく働いたり、学校行って勉強したり、居眠りしたり。5時間を何もせず止まっていることはありますか。
セレナ
「わたしはありませぇえええん!!!!
暇だ!暇!!ひまひまヒマヒマァーーーー!!!!」
1人には慣れていた。しかし、本も何もない。何をしろと言うんだ。
セレナ
「あ、そうだ。こう言う時こそ念能力を高めるべきなのか」
改まって、座禅を組む。目を閉じて集中する。オーラを身体に留めるように……留まったオーラを移動させていく。頭へ集め、次に肩、胸、腕、腹、脚と。
そして最後に自分の周囲を円形に留める。円形に留めたら、オーラを触手のように動かしてみる。
セレナ
「くっ……」
先ほどのこともあってか、集中力も続かない。
パンッ
留まっていたオーラが飛散した。
セレナ
「ハァーーーーーッ、つっかれたぁ……」
ドサリとそのまま四肢を放り出して仰向けに倒れこんだ。そして、急に襲ってきた眠気に、わたしは委ね、そのまま眠りについた。
4時間後。
謎の男
「5時間経ったぞ」
スピーカーからあの男の声がした。
セレナ
「……あとごふんー」
謎の男
「仕方がないな、あと5分だけだぞ…ってなるかぁ!!!起きろ!!」
セレナ
「うるさいなぁ……」
謎の男
「次の部屋へ進め。3分だ」
セレナ
「はいはい……」
しょぼしょぼする目を擦り、まだ寝かせてくれと訴える身体を無理矢理起こした。上半身起こせただけでもかなり褒めてあげたいところだ。自分を。そしてここからが本番。
セレナ
「……立て!!立ち上がるんだセレナ!!!」
よっこらせ、と。
セレナ
「よく頑張ったセレナ!!えらい!かしこい!!天才!!」
傍目から見たらどんな風に映っているのか。そんなこと気にしない。
すでに開かれた扉へ、わたしは駆ける。
あと1分。
果たして間に合うのか。