第2章 暴走×逃走
部屋から出てすぐに武器が置かれた通路に差し掛かる。両側に剣をはじめとして、刀、槍、斧はもちろん鎌や、どう使うのか釣竿まで置いてあった。
セレナ
「まぁ、必要ないか」
ダガーを持ってるから持っていく必要はない。むしろこんなにあれば、2分以内で選べる自信もないし、そもそもどうすれば成功になるかもわからない状態で、余計なことしていられない。
やがて、大きな部屋に出た。すぐさまスピーカーから同じ男の人の声が流れる。
謎の男
「1分2秒、おめでとう。クリアだ。次はその部屋の囚人達の出す課題に従え。時間は2時間。開始!!」
セレナ
「ツッコむ余地はないのね……」
自分が出てきたところは大きな鉄格子が落とされ、逃げ道を閉ざされる。もう1つ、向かい側の鉄格子の扉から、囚人がゾロゾロ出てきた。
囚人
「んだよぉ、オンナかよぉ。まぁオンナの泣き叫ぶ声もまた…ククッ」
セレナ
「はぁ……早くしてよ」
囚人
「お嬢ちゃん、余裕ぶってられんのは今のうちだぜぇ?」
セレナ
「余裕?いやいや2時間しかないから早くしてよ!?焦ってるんだよこっちは!!!!」
囚人
「その2時間もムダになるけどなぁ……!!」
男の囚人が不敵な笑みを浮かべると同時にわたしの頭はハテナを浮かべる。男は指を鳴らすと、ざっと数百の囚人が一様に武器を構える。
セレナ
「おーおー……なんともまあ……って、囚人ってことはここ監獄?!じゃあなんで武器持ってんの?!おかしくない!?どうなってんのここの制度!!?」
囚人
「5分で終わるからね」
セレナ
「やるしかないの……わかったわかった。じゃあその言葉そっくりくりそつに返して差し上げますわ」
わたしもダガーを構える。
向こうが殺す気ならこちらもそれ相応の対価を払おう。
ネテロさんにしたように、空間を覆うように円を展開する。
セレナ
「まだ未完成のわたしの念能力……!ちょっと確かめたかったんだよねー。誰にも見せたくなかったけど、どうせ死人なんだからいいよね?実験台になってね〜」
数百の囚人がこちらに向かってくる足音が聞こえる。わたしも足に力を入れた。