第2章 暴走×逃走
朝になると、飛行船は目的地に着いたらしく、降りるようにとアナウンスが流れた。
初めてのマクラなしの睡眠は首をたいそう痛めた。
セレナ
「やっぱり旅にマクラは必要だよね……」
キルア
「はよー」
ゴン
「おはよ!」
セレナ
「お、おはよう…!」
感動。誰かとこうして朝の挨拶を交わしたのはいつぶりだろうか。
わたしたちは大きな塔の頂上に降ろされた。ここから72時間以内に生きて下まで降りること、と説明される。塔はすごく高い。
83番の男
「ここから降りるのは自殺行為だな。普通の人間ならな。このくらいのとっかかりがあれば、一流のロッククライマーなら難なくクリアできるぜ」
そう言って男の人は塔の側面をすいすい降り始めた。
ゴン
「あ……」
遥か向こうから何かが飛んでくる。それは大きな羽音を響かせた、怪鳥だった。男はなす術もなく怪鳥の餌食となってしまった。
レオリオ
「外壁をつたうのはムリみてーだな」
クラピカ
「きっとどこかに下に通じる扉があるはずだ」
数分が経過した。それぞれが塔の頂上で足元を注意して歩き始めた。人数もだんだん減り始めている。
セレナ
「とびら、とびら、とびら……」
ゴン
「どこにあるか全然わからないね」
キルア
「ああ、慎重に探さないとな……」
セレナ
「うわぁ!!!?」
足元からガコンと音がして、急に不安定になる。かと思えば、わたしはいともあっさり下へ落ちていく。
ゴン
「セレナ!?」
キルア
「ウソだろ大丈夫かよ……」
2人の声は虚しく、わたしの耳には届かなかった。
セレナ
「いたた……」
盛大にお尻から落ちた。辺りを見回すと、狭い部屋で暗くて少しだけ湿度が高い感じ。扉らしきものの上には時計が掛かっていた。
「タイムチャレンジの道へようこそ。」
セレナ
「っ?!びっくりした!!はい、ようこそ?」
突然、部屋の天井隅にあるスピーカーから男の人の声が響いた。
謎の男
「今から扉の向こうでこちらが指定した時間通りに試練をこなしてもらう。武器は全部こちらが揃えてあるからご自由にどうぞ」
セレナ
「失敗すればどうなるんですか?」
謎の男
「まずは、2分!はじめ!!」
セレナ
「ちょっ!!」
扉は開き、とりあえず奥へ進んだ。