第1章 出会い×別れ
もうすっかり夜になった。
今また、飛行船の中へ入り、次の目的地へ向かう途中だった。予定時刻は明日の朝ということで、それまで飛行船の中で自由にしていいとのことだった。
キルア
「ゴン!!セレナ!!飛行船の中探検しようぜ」
ゴン
「うん!!」
セレナ
「わたし飛行船はじめてー!!」
そうして、30分ほど探索し、こうして3人並んで座って、外の景色を眺めていた。街の電光がキラキラと輝いて、宝石のようだった。
セレナ
「……きれい」
しばらく沈黙が流れる。
ゴン
「キルアのさァ……」
それを破ったのはゴンだった。
ゴン
「キルアの父さんと母さんは?」
キルア
「んー?生きてるよー多分」
ゴン
「何してる人なの?」
キルア
「殺人鬼」
ゴン
「両方とも?」
ゴンがそう聞いた時、キルアは突然笑い出した。
キルア
「おもしろいなお前ー
マジ面でそんなこと聞き返したのお前が初めてだぜー」
ゴン
「え?だって本当なんでしょ」
キルアはゴンの顔を見る。
キルア
「オレん家暗殺稼業なんだよね、家族ぜーんぶ。そん中でもオレ、すげー期待されてるらしくてさー
でもさ、オレ、やなんだよね。人にレールしかれる人生ってやつ?
『自分の将来は自分で決める』って言ったら、親兄弟キレまくりでさー
母親なんか、オレがいかに人殺しとして素質があるかとか涙ながらに力説するんだぜ?!」
わたしは、目を閉じ、静かにキルアの話に耳を傾けた。
キルア
「結局ケンカになって、母親の顔面と兄貴の脇腹刺して家おん出てやった!今ごろきっと血眼さ!!
ハンターの資格取ったらまずうちの家族とっ捕まえるんだ
きっといい値段で売れると思うんだよねー」
セレナ
「……やっぱり」
ゴン
「?」
セレナ
「ほら、キルアこれまでの試験で汗とか流してなかったから!やっぱりすごい人だったんだなーって。
ゴンもすごいよ。鼻がすごい」
キルア
「こいつの鼻には敵わねー」
ゾクッ
突如背後から何かの気配がして、3人同時に立ち上がり振り向く。
しかしそこは誰もいなかった。
「どうかしたかの?」
また背後から、今度は声をかけられ、振り向いた。