第1章 出会い×別れ
かくかくしかじかで、ともあれもう一度だけチャンスがネテロ会長から与えてもらえた。条件として、メンチと呼ばれた女の人も実演するという形で。
メンチ
「そうですね、それじゃ、ゆで卵。
会長、私達をあの山まで連れていってくれませんか」
はるか遠方の方にそびえる山を指差し、ネテロ会長が乗っていた飛行船で飛ぶことを提案したメンチ。
そして、着いた山は真っ二つに両断されていた。
その谷を指したメンチ。その下は、ゴウゴウと音が聞こえるだけでどうなっているかわからない。
メンチ
「安心して、下は深ーい河よ。流れが早いから落ちたら数十km先の海までノンストップだけど」
そう言いながらメンチは靴を脱ぎ捨て、「それじゃ、お先」と軽やかに飛び降りた。周囲は驚きの声を上げる。
ネテロ会長
「マフタツ山に生息するクモワシ。その卵をとりに行ったのじゃよ。クモワシは陸の獣から卵を守るため、谷の間に丈夫な糸を張り卵をつるしておく。その糸にうまくつかまり、1つだけ卵をとり、岩壁をよじ登って戻ってくる」
メンチは笑顔で戻ってきた。
キルア
「あーよかった」
ゴン
「こーゆーのを待ってたんだよね」
レオリオ
「走るのやら民族料理よりよっぽど早くてわかりやすいぜ」
セレナ
「いっちばんのりー!」
ゴン
「あっ、ずるい!!」
キルア
「メンチが行ってんだからもう1番じゃねーだろ!!」
風を切る音。ぐんぐんと重力に従って体が降下していく。すごく胸が踊っている感覚だった。
うまく卵をとって、市販の卵とを食べ比べしてみる。
セレナ
「んん〜っ、おいひぃ……」
濃厚で、舌の上でとろけるような深い味わいだった。この味を知ってしまえば、もう市販のものでゆで卵なんて食べらそうにない。
メンチ
「おいしいものを発見した時の喜び!少しは味わってもらえたかしら。こちとらこれに命かけてんのよね」
セレナ
「……わたしも、好きなモノ追っかけられるかな……」
クラピカ
「セレナ?」
セレナ
「ううん、なんでもないよ」
こうして、第二次試験後半、メンチのメニューは42名の合格者を出して幕を閉じた。