第1章 【家康】私の知らない君と、俺の知らない君
気配を感じて顔を上げると
近づいてきた家康が膝をついて顔を覗き込んだ。
「花蓮、大丈夫?」
そっと、家康の手が花蓮の頬に触れる。
温かく、大きな男の人の手。
普段の無表情さからうかがい知ることのできない、
優しさの流れ込んでくる手。
花蓮が知ってる、いつもの家康の手…。
その手をそっと握り返して
「私たち…」
わずかに目元を緩ませて、
家康が安心したように微笑む。
「もとに、戻ったんだ」
その笑顔に、ここ数日の不安や緊張感
そして、安堵…
色々な気持ちが押し寄せてきて、
涙があふれる前に、花蓮は家康の首に抱きついた。
「こんな面倒に俺を巻き込んで。
帰ったら容赦しないよ」
家康も、花蓮をそっと抱きしめて、
いつまでもその髪を撫で続けていた。
~fin~