第2章 君に咲く痕【家康・裏あり】
◆おまけ◆
「おい、待て!」
「こら、照月ー!」
渡り廊下をどたばたと走りながら、政宗と花蓮がやってくる。
「おい、おい!廊下は走るなよ!」
忠告する秀吉と家康の脇を、2人は走り抜けていく。
「だって!照月が私の簪(かんざし)を取って逃げちゃうんだもんー!」
(楽しそうだな…まったく)
とは思っても家康は、そんなことを顔には出さず、自分を追い抜かした花蓮の背を見つめる。
でも、これが平和な安土城の日常の姿だ。
「よし、捕まえた!大人しくしろ、照月」
「こら、もういい子だからっ、返してね」
政宗に先回りされた照月は、行き場を無くし、後ろからきた花蓮に抱き上げられた。
花蓮に構ってもらえたのが嬉しいのか、照月は咥えていた簪を落とし、花蓮の腕に甘噛みしながらじゃれつく。
「こ、こらっ、痛いよ、照月っ!」
花蓮が困った声をあげると
そこには…
いつか見た赤い跡が…
(あ……)
自分のした盛大な勘違い気づいて、家康の顔に微かに血が上る。
「ん?家康どうした?俯いて」
「べ、別に何でもないです。花蓮、行くよ!また腕に傷なんて作って」
「え…えっ?い、家康ー?!」
驚く花蓮の腕を強引に取って、いつかと同じように家康は自室へと歩いていった。
おわり。