第1章 【家康】私の知らない君と、俺の知らない君
(……?)
家康(花蓮)が視線を感じて、見上げると
斜め後ろの木の上から
弓を構える男の姿が目に入った。
まさか振り向かれると思っていなかったのか
目があった男は、
「…くそっ」
勢いよく弓を引いた。
驚きで息を飲む家康(花蓮)を振り返った
花蓮(家康)は、間近まで迫った
鋭い矢じりに気付き
このままじゃ家康が…
このままじゃ花蓮が…
「「危ないっ!!」」
互いにかばいあう様に
抱きしめあい、馬から転げ落ちた。
「はっ、無様だな、馬から落ちたぞ」
あざ笑うような浪人の声。
(早く、なんとかしないと…)
草地と言えど、落馬の衝撃で身体が痛む。
そのせいか身動きとろうにも、身体が動かない。
それに…
広い胸に…
強く抱かれて…
「今度こそとどめだ!」
向かってくる足音をかき消すように、
シャキィィィィィン―
刀を抜く音が空を切った。