第1章 【家康】私の知らない君と、俺の知らない君
(負けてはいない…でも…)
揺れ動く馬上で、家康(花蓮)は
目の前の華奢な身体にしがみつく。
(刀を振るう腕が、いつもより鈍く感じる…)
しかし、仕方がないのかもしれない。
今は、中身は家康でも体は花蓮。
いくら家康の武力の才があっても、
腕力の無い花蓮の身体では
使い慣れた刀もかなりの重荷だ。
「ははっ、女が向かってくるとはな。後ろの武将はただのお飾りか?」
挑発するような敵の言葉に、
「…くそっ」
悔しそうに花蓮(家康)が呟く。
思った通りに動けないもどかしさからか
花蓮(家康)が少しづつ焦っているのが
抱きしめた腕の中から伝わってくる。
(どうしよう…私にできることは…)