第1章 【家康】私の知らない君と、俺の知らない君
そこへ...
「家康、探したぞっ!」
ぱたぱたと小走りに秀吉がやってきた。
「おー、珍し。人には小言を言うくせに、廊下を走ってきたぞ」
茶化すように笑う政宗を無視し
険しい顔で秀吉が声をかける。
花蓮(家康)が、家康(花蓮)に
目線で合図すると
「...ぁ、え、俺?」
一瞬遅れて、家康(花蓮)が返事をする。
「お前、部下を何人か西の森に斥候に出してたろ」
「は、はい…」
「使いのやつから連絡あって...
浪人の集団が斥候の駐屯地を襲撃したみたいだ」
急いできたせいか、息を切らせながら秀吉がいう。
「強盗目的だろうから、大事にはならないだろうけど、ちょっと様子を見...」
「行ってくる、馬の用意だけお願いします」
「「「え?」」」
さっと、身を翻し
部屋へと向かおうとするのは...
「花蓮!お前は残れ、危ないだろ!」
秀吉の慌てた声も聞かず
花蓮(家康)は足早に
廊下の突き当たりへと姿を消す。
「...なんで、あいつが張り切るんだ?」
思案気な政宗。
「あ、あの、俺行ったほうが良いよね...」
おろおろとする家康(花蓮)。
「…当たり前だろ」
光成を除く全員にぎろりと睨まれ
たじたじの家康(花蓮)なのであった。