第1章 【家康】私の知らない君と、俺の知らない君
(ひっ...)
光秀の吐息が頬にかかり、
睫毛も今にも触れそうな距離に迫った
その瞬間...
「「こらー!!」」
駆けつけた政宗の声と、そして...
(...え?)
隣の襖が勢いく開き、両手で押し開けたまま
真っ赤な顔で口をパクパクしてる俺(花蓮)。
「ふん、邪魔が入ったか」
光秀が寄せていた顔を引き離すと同時に、
後ろから政宗に抱きとめられる。
「光秀...出会い頭に花蓮に口付けしようとするなんて、お前とんだ獣(ケダモノ)だな」
(いやいや、どっちが...)
そう突っ込みたくなるのを抑えて、
とりあえず俺は胸をなで下ろす。
「花蓮、お前の驚いた顔はなかなか見ものだったぞ」
にやりと怪しく笑う光秀に、背筋が泡立つ。
「それにしても、家康もいつまで、真っ赤になって突っ立てる。 別に俺が花蓮に口付けてもお前には不都合あるまい」
なぁ?
と尋ねるように、再び光秀が花蓮(家康)の顎に手を添えた。
(ほんと...勘弁...)
(やっぱり、安土城は危険だ...)
「皆さん、私の部屋の前で楽しそうですね。調べ物も終わったところですので、私も混ぜてください」
家康(花蓮)の後ろから
三成がひょっこりと顔をのぞかせる。
いつもは癇に障る三成も
その場違いな雰囲気の発言のせいか
皆の空気が緩むのが分かり
今日だけは感謝の気持ちがわく。