第1章 【家康】私の知らない君と、俺の知らない君
「…家康?」
黙り込んだ俺を心配してか
花蓮に声をかけられて、現実に戻る。
見上げると、心配げに緑色の瞳が揺れていた…。
(……っ。俺は……)
それは紛れなく見慣れた自分の顔だけど、
その中にいるのは花蓮で…。
こんな表情を花蓮に、
花蓮の心にさせたくない…。
「また同じ体験をすれば、その衝撃で元に戻るかもしれないと思うのですが…例えば、次の嵐の雷を待つとか…」
「それって…」
隣で、花蓮が息を飲むのがわかる。
「ダメだよ」
「え…?」
「花蓮がこっちにきた仕組みもまだわかってないんだ。このまま何かの仕組みで連れ戻されるかもしれないのに、そんな危険なことはさせない。させられない」
「でも家康さま、このままでは…」
「いい。花蓮が向こうに戻る可能性があるなら、このままでいい」
どうにもできない事にぶつかって
遣る瀬無い思いになって、俺は立ち上がる。
「ちょっ…、ちょっと家康!…待ってよ」
その声を振り切るように、俺は三成の部屋を出た。