第3章 祓い屋の会合
(主め…私の姓をじゃなく的場で書類に書きやがったな)
これは後で問い詰めなければ。そう静かに決意した。
下校時刻になり、私は手速く荷物をまとめて校内を少し見て回った。
結果、悪い気が立ち込めそうな場所を幾つか発見した。こういう所は悪影響をもたらす妖が住処にしやすくなるから時々注意しないと。
そうこうしてるうちに1時間ほど経っていたらしい。急いで昇降口へ行くと、女子生徒の黄色い声が聞こえた。何だと様子を伺えば、そこには見慣れた姿が―――
(これは近付いちゃいけない気がする!気づかれる前に逃げるが勝ち!!…って言ってる側から目合っちゃった!?)
「あまりに遅いので迎えに来ました。入学式が終わり次第直帰するよう言ったはずですが」
「だからってたかが1時間程度だろ!?なんで迎えなんか来るんだよ!悪目立ちするじゃね…ですか!!」
「着付けやら説明やらでそれなりに時間がかかるので少しでも時間が惜しいんですよ」
「と…とにかく!場所移すぞ!」
そして2人は近くに停めてあった的場家の黒塗りの車に移動し、後部座席に並んで座る。
「…それで遅くなった理由を伺いましょうか」
「……校内で悪い気が立ち込めそうなところを把握する為に調べてたら1時間経ってた」
「それで目星は」
「いくつかそれらしい所は見つけたけど恐らく住処にするとしても小物だろうな。でも小物が大物を引き付けないように注意するつもり」
「…まぁそういう事なら今回は許しましょう。七瀬が着付けの用意をして待っています。早く帰宅しましょう」
そこでふと疑問に思った。何故着付け?会合用とはいえそんなことする必要があるのだろうか?
「なぁ主」
「なんです?」
「なんで着付けするんだ?」
「…貴女をお披露目するからです」
「ふーん」
なるほど。お披露目するから着飾るのか。
この時はそれでなんとなく納得しただが、会合で思いもしない"お披露目"がされるとは知る由もない。