第3章 祓い屋の会合
「…ここか?」
「ええ。ここが今回の会合の会場です」
道案内のプラカードを掲げた妖の矢印の方へと歩いてゆき、行き着いたのは広い木造の屋敷みたいな所。どうやらこの屋敷が会合会場となるらしい。
「こーゆー会場ってどうやって用意すんの?」
「今回は我々的場一門の主催なので、傘下の者で使わなくなった屋敷などを提供してもらうんです」
「へぇ…」
そして屋敷に入る直前、的場は思い出したようにへ向き直り問うた。
「ところで。あの木に引っかかっている着物は分かりますか」
「ん?…ああ、アレか」
「何色に見えますか?」
突然の問に戸惑いながらもは答えた。
「えっと…、鮮やかな黄色に…錫杖とか菊の花の模様?柄?がある。…すごくキレイだ」
(成る程。やはりかなり妖力が高いようですね)
「それであの着物がなんなの?落し物か何か?」
「いえ。あの着物は見るものの妖力に応じて色や柄が異なるという代物なんです」
「じゃあ私は高い方?低い方?」
「柄まで見えるのは妖力が高い証拠。貴女ははっきりと見えているようですからかなり高いでしょうね」
「主は?柄見えるの?」
「ええ。さぁ行きましょうか」
「ん。わかった」
会場に入り、的場の挨拶回りに同行する。
向けられる目は好奇、畏怖、嫌悪…と様々だが、時々気にかかる話し声が聞こえた。
――どうせまたすぐ捨てられるだろう
――的場様は使えないと判断すると切り捨てるからな
――いつまで持つか見物だな
(捨てられるってどういうことだ…?)
捨てられるということは、居場所を失うということ。"的場"という居場所を失ったらどうしたらいい…?
思わず顔を顰めるだが、狐の面をしている事もあり周りには表情が見えていない。
「…すみません、少し席を外させていただきます」
突然、的場に手を引かれて空き部屋へ連れてこられた。