第15章 新しい友人、自覚した想い
室内に封印されているという妖の影響か、はたまた別の何かがあるのか。
(どっちにしろ要調査、ね)
先を進む紅月に続き、慎重に奥へ足を進める。
「…アレだ」
「これって…!なんでこんなものがこの学校にあるのよ…」
そこにあったのは、的場が以前見せてくれた呪具の中にあったものと酷似したもの。
真っ白な骨壷のような、少し大ぶりの壺。その表面をびっしりと覆うように書かれた、妖を封印するための呪文。
この大きさの壺であれば、恐らく上級の妖であるのはほぼ確定で間違いないだろう。
(どうする…?報告すべきか…)
目前にある壺は時々カタ、カタ、と動きを見せている。もしかしたら封印が溶けるのも時間の問題かもしれない。
「…とりあえず応急処置だけど結界張っておこうか」
そして封が解けないように結界を張り、その日はそれだけで帰宅した。
――その日の夜、夢を見た。
小さな子が蹲って泣いている夢。
見覚えのない光景。
(嗚呼、そうか)
これはきっと、壺の中にいるあの妖のものだ。
『やだよぉ…置いて行かないでぇ…』
その身なりは人間に酷似した姿で、両手で顔を覆っている。
『ひとりにしないで…っ、寂しいのはやだよぉ…』
きっと、この子は"誰かと共にいる楽しさ"を知ってしまったんだ。だから孤独を拒絶する。
(同じだ…私と…)
あの日、的場静司に拾われてから私は独りではなくなった。私の世界は、彼に出会ったことで一気に広がったんだ。今は学校で出来た友人だっている。
(今思えば…大切なものが随分と増えたものだな)
最初こそ両親への憎しみだけしかなかった。でも的場静司という私の主へ抱いた、時々苦しいけれど胸があたたかくなる想い。