第15章 新しい友人、自覚した想い
普通の人間には紅月の姿は見えないため堂々と校内を見回る紅月。
「ん?」
ある一室の前でピクリと耳が反応した。
見上げた先のプレートには、「資材庫」と書かれていた。
「…見てみるか」
器用に資材庫と書かれた部屋の引き戸を開け、体を滑り込ませる。室内はここ数年は人の出入りがなかったのか少し埃臭いが、無造作に置かれている訳ではなくある程度まとめてあった。
そして資材庫の奥。簡易の机と椅子が置かれた少しばかり開けたスペースがあり、紅月の足はそこで止まった。
「これは…」
そこで紅月が見たのは…。
午前の授業が終わり、昼休憩に入ったところで漸く紅月が帰ってきた。
「主」
「紅月?遅かったわね」
「ああ。…主に報告したいことがある」
「…なにか見つかったの?」
「実は――」
そして紅月は見回りで見つけた資材庫での事をに報告した。
「封印されている妖の封が解けそうになってた!?」
「ああ。恐らく中級から上級の妖だ」
「なんでこの学校に妖が封印されて…」
いや、それよりも封印が解けそうになっているのなら封印し直すなりして何かしらの策を講じなければ。
どんな妖だとしても、封印されるだけの何かがあったということなのだから。
「…とりあえず、その妖がどういうものなのか調べなくちゃ。静司さんに報告するのはその後で」
「了解した。放課後にでも案内する」
「うん。よろしくね」
そして放課後。
紅月に連れられてやってきた資材庫。改めて来ると、だいぶ奥まったところにある部屋だと紅月は思った。
「ここなの?」
「ああ。この部屋の奥だ」
ここだけ古くなっているのか、開けた引き戸はガラリと音を立てた。
(ん?ここだけなんでこんなに古いのかしら…?)
微かに抱いた不信感。他の教室の引き戸はここまで古くはなかったはずだ。