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的場一門の妖姫

第13章 一難去ってまた一難


夕陽を眺め、これからの生き方をぼんやり考える。
両親の想いと真実を知ってしまったのだ。もう今までの様に彼らを恨むなんてできない。恨むべき対象とするならば…。
(雪咲家の奴ら…、父様と母様を死に追いやったあいつ等だ)
しかし、あの夢の中では"自分たちのことは恨んでもいい"と言っていた。きっとが雪咲家の人間を恨むことをよくは思わないだろう。寧ろ悲しむかもしれない。
「…変わったものだな。私も」
『ずっと変わらずにいることの方が難しいものだ。人は時を経るごとに変わっていく。時代や風習も…な』
「紅月…」
そういえば紅月は私の妖力から生まれたと言っていたけれど、恐らく母様の妖力もあるはず。もしかしたら母様が生前見聞きしていた光景も知っているのかもしれない。
「こんな所でどうかなさいましたか?可愛らしいお嬢さん」
急に声をかけられビクッとしたに、声の主は苦笑気味に続ける。
「はは…そんなに驚かなくてもいいだろう?」
そして、その声は以前にも聴いたことのある声だった。
「もしかして名取のとこの坊ちゃん…?」
言いながら振り向くと、やはりその人だった。
「あー…、坊ちゃんはやめてくれるかな。周一でいいからさ」
名取周一。今は落ちぶれてしまってこそいるが、嘗ては祓い屋の名門だった名取家の当主だったか。
「じゃあ周一…さん。貴方こそどうしてこんな所に?」
「仕事の帰りでね。懐かしい姿を見たものだから声をかけてみたんだ」
「ふーん」
「何かお困りかな?」
隣に腰を下ろしさり気なく覗き込んでくる名取に、紅月は二人の間に割込むようにしてを庇う。
「…君は?」
『我は彼の主、雪咲の用心棒。我が主に何用だ』
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