第13章 一難去ってまた一難
「これはこれは用心棒か。まぁ用…といえば用かな?ちゃんが困っているように見えたから」
「別に困ってなんか…」
「そう?…じゃあこれだけ言っておこうか」
そこで区切ると、名取は真剣な表情でを見て告げた。
「もし的場が嫌になったり居ずらく感じたなら、僕のところへ来るといい。君なら大歓迎だよ」
「はぁ…」
そう言って名取が名刺を取り出しに手渡した。
「それじゃ、また会おうね。ちゃん」
の頭をひと撫でし、名取はその場を後にした。
「……紅月、私達もそろそろ帰ろっか。主が心配するかもしれないし」
『嗚呼…』
そしてたちもまた帰路についた。
『主様、宜しかったのですか』
「柊。…ああ、あの様子なら近いうちに此方へ来る可能性が高そうだからね」
『そうですか』
「うん。今はまだそっとしておこう」
『承知』
表情を消し、淡々とそう口にする名取。彼は一体何を企んでいるのか。
魔の手はゆっくり、ひっそりと、少女へ迫ってゆく…。