第7章 相談相手
「考えてもみな。的場はこの的場一門の頭首。祓い屋としての力は勿論、勢力だって大きい。故に、あいつには縁談がいくつもあった」
「縁談?でも主はそんな事一言も…」
「そりゃそうさ、それらを全て断ってきたんだから。まだその気は無いと言って」
「つまり…私はその縁談避けってことか?」
「…まぁそういうことかね」
知らなかった。主に縁談がいくつもきていただなんて。そしてそれを全て断っていたことも。
「そっか…。そう、だったんだ…」
自然と俯く。
つまり、的場は約束を守るのと同時にを縁談避けとして養子ではなく婚約者にした、と。
(いつの間にか自惚れていたのか。主が特別視してくれているかもしれないって)
ズキズキと胸が痛む。的場はに特別な感情なんて無かった、そう理解すると一層胸は痛みを増した。
「あとが感じる胸の痛みに関しては私から言えることは無い。強いていえば、その原因についてはお前自身が自分で気付くべきだ」
「自分で…」
胸の痛みの原因を既に知っているような口ぶりからして、このことに関しては自分で気付くべきなんだろう。…全く検討もつかないが。
「相談事はそれだけかい?」
「あ、ああ…。聞いてくれてありがとう。自室にいるから何かあれば声かけてくれ」
「はいよ」
ふたりして立ち上がり、それぞれ歩き出す。
先程の話を聞いたからか、の足取りは自然と重くなる。
(そう…だよな…。主からしたらこんな小娘も同然の私を対等になんて見ないか…)
気持ちも沈んでゆく。
期待してしまっていた自分もだが、何も教えてくれなかった的場に対しても憤りが募る。