第7章 相談相手
そういう意図ならば、何故あの時あのような行動をとったのか。
確かにあの時私は居場所を失う事に震えていた。しかし、だからといって何故ああする必要があったのか。
何故、
何故、
何故――――。
そこまでいって、また同じようなことをぐるぐる考えていることに気づく。
(…ダメだな。少し散歩でもして頭を冷やすか)
先程七瀬に部屋にいると言ってしまった手前、置き手紙でも残そうかと思案するが、すぐ戻ればいいかと思い直し静かに自室を出て的場邸を後にした。
一方七瀬は見回りを済ませ、自室で祓い屋の仕事で使う札などの補充をしながら先程のの相談事を思い返していた。
(まさかあの子が的場を…ねぇ…)
あの会合で的場とが2人で抜け出していくのを偶然目撃していた七瀬。少しして戻ってくるなり、あの爆弾発言をしたのだから、その間に何かあったことは明白だった。
(的場の方は少し前からに過保護なところもあったし、もしや…と思ったが)
七瀬にとって、的場よりもの気持ちの変化が誤算だったようだ。
「…おや?」
どうやら呪符に使う墨が切れたようで、どうせだからにお使いを頼もうかと思い立ち上がる。
「ー、ちょっとお使いをたのみたいんだが…」
の自室の前まで来て襖を開けず声をかける。しかし、帰ってくると思っていた彼女の返答が無い。
少し不審に思い、そっと襖を開けていくと部屋は蛻けの殻だった。
「…?」
そこら辺を歩いているのかもしれないと思い直し、家中を歩いて回るが見つからない。
――――消えた
まさしくその言葉が相応しいだろう。ついさっきまで話していた少女が、さも最初からそこにいなかったかの如く忽然と姿を消した。
ふと空をみれば、晴れていたはずの空は雲行きが怪しくなっており、そう時間もかからぬうちにひと雨来るだろう。
七瀬は仕事中であろう的場に急いで連絡を取るべく動き出す。
つ…と背筋を冷や汗が滑り落ちた気がした。