第1章 お前、ほんとバカ 【シン】
しばらく抱き合って、の涙が落ち着いた頃。
俺は結構落ち着けない状態になっていた。
「、そろそろ離れて」
「あ、苦しかったよね、ごめん」
「じゃなくて」
理性やばいしキスしたいし、とにかく少し離れたい。
と向き合ったところで、もう「目、瞑って」とか言える程の余裕もなかったし待てなかったから、顎持ってきて強引にキスした。
お前、どんだけビックリしてんだよ。
目の開きようやばいんだけど。
俺のこういう強引なキスに抵抗はしなくなったけど、まだ慣れてないんだ。
慣れなくていいけど。
「んっ……シ、ン」
「っは、なに?」
「く……ん、苦し……」
「もうちょいさせて……」
もう少しお前の香り感じたい。
唇の柔らかさも感じたい。
息遣いも体温も感じたい。
だめだ可愛い。なんかもう堪えんの無理。
いや無理でもなんとかしなきゃだろ、もう傷つけたくない。
最後にの唇をペロッと舐めてから顔を離した。
目がうるんでて頬が赤いが、俺を見上げている。
こうさせたのは俺なんだ。
っていう実感と支配感が俺を襲う。
「……なんか、今日のお前やばい」
「? ブスってこと?」
「なんでそうなんだよ。ブスならはっきりブスって言うから」
「それはそれでどうかと思うけど……」
バカな返答のおかげで少し落ち着いた。
だいたい、お前のことブスなんて思ったことない。
バカだとは思ってきたけど。