第1章 お前、ほんとバカ 【シン】
「なぁ、」
「なに?」
「俺、この一年はほんとお前とのことで色々考えた。お前のこと、沢山傷つけたりもした。けど……それでも、やっぱり傍にいたい」
「うん……私も傍にいたいよ」
俺の肩に頭を預けて穏やかに言ったお前の言葉は、本当に心から信じられる気がする。
温かさがまた伝わってきて、安心する。
「これからも必死に努力して、お前の横、歩けるようにするから」
「私の方が努力しなきゃだよ。私はサボっちゃうこと多いし」
「そん時は俺が喝入れる」
「なら安心かな」
クスクスと笑うその姿を守りたい。
だから絶対お前から離れないから。
いつだって俺が傍にいて、俺を求めてくれるお前がいて、そんな未来にする。
外は静かで、時々鳥の鳴き声や、車の音が聞こえたり。
でも突然子供たちの大きな話し声が聞こえて。
ポツリとが口を開いた。
「私、子供は二人欲しいなぁ」
「……へぇ、二人、ね」
「私たち、兄弟はいないけど、いつも三人で一緒にいたからなんとなく感覚はわかるよね。シンはそういうの考えたことある?」
「……あるよ。でもその前に、俺に子供欲しいって言うってどういうことかわかってんの?」
キョトン、と不思議そうな顔してるな。
だと思った。
「だから、そういうことする覚悟あって言ってんの?」
「…………あ。そ、そういう意味? えっと……」
「お前、ほんとバカ」
「もう! またそんな風に言う」
でももうお前の言葉、撤回は無し。
いつか来るその日を楽しみにしとくから。
~End~