第6章 俺だけの君でいてもらえるように【ウキョウ】
ふわっと、優しく包み込むように、が抱きついてきた。
本当に、羽のように優しい抱きつき方だった。
「私は、浮気なんてしません」
「うん、わかってる……」
「ウキョウさんの言う通り、ウキョウさんのことが大嫌いになったり、別の人を心底好きになったら、確かにウキョウさんだけの私でなんていられない。将来、そうなることも可能性だけでいえば否定できません」
「うん、それもわかる……」
の、俺を抱きしめる腕にぎゅっと力が入って、それはまるで俺にすがりついてるような……。
ああ、の体から、呼吸から、唾を飲み込む動作から、悲しさや寂しさが伝わってくる……。
「でも……私は今、ウキョウさんが大好きで大好きで、仕方ないです。あなただけの、私でいたい……」
「……」
「これじゃあ、答えになりませんかね……」
小さく苦笑して、俺から離れようとした。
ごめん、離したくないよ。
今度は俺から強く抱きしめた。
「ううん……君の言葉を聞いて、思った。君が俺の事を想い続けてくれるように、俺自身が努力しなきゃいけないことがあるって」
「……そんなに、ありますか?」
「うん……。君に頼む以上に、君にもっと好かれるように俺が努力して、俺だけの君でいてもらえるようにしなきゃね」
「ふふ、それ、とても嬉しいです。でも、今でも充分、大好き」
そう笑って、俺の腕の中にいるのにさらに頭をすり寄せてくるのがどうしようもなく可愛くて。
額にそっとキスをした。
俺も、どうしようもなく、好きだよ。
愛してるよ。ずっと。
~Fin~