第5章 キミだけは手放せないな【ケント】
「だが、全く収穫がなかった訳では無い」
「え?」
「女性は、やはり頭を撫でられるのが好きなのだな。それから……少々、強引であるくらいがいいとみた」
「まあ、そうですね」
は少し照れくさそうな顔で答えた。
私はこの漫画の男のような性格ではないし、この男のように振る舞うことは出来ない。
だか、の頭を撫でたいと思うし、時には思い切り抱きしめたい時もある。
羞恥心や、が嫌がらないかという気持ちで一歩引いてしまうことが多かった。
だが、抱きしめていいか、といちいち確認するのも違う気がして、どうにもできずにいた。
……たまには、挑戦、することとしよう。
まずは、頭を。
おずおずと手を伸ばすと、私の意図がわかったようで、は微笑んで待っている。
愛らしさに胸を打たれ、一層触れたくなる。
羽に触れるように、軽く頭に触れ、頭頂部から毛先までをひとなでする。
目元を赤らめて嬉しそうな顔をするものだから、こちらまで顔に熱が集まってきた。