第4章 明日も仕事、頑張れそうだよ【イッキ】
「あ、あの、イッキさん……」
「なに?」
「スーツ……シワになっちゃいます」
ベッドに来て最初の言葉がそれって……キミ主婦だね。
そんな現実主義なとこも好きだよ。
「早く脱いで裸になって、って意味で言ったわけじゃなさそうだね」
「当たり前です!」
「ふふっ、自分でアイロンかけたりするからいいよ、キミに迷惑はかけないから。……今日はこういう気分。ダメ?」
「っ……」
僕からのおねだりに弱いことはもう知ってる。
僕の言葉に困るキミは本当に可愛くて、ついイジメたくなっちゃうんだ。
そして困っているキミをずっと見つめていたくなる。
そんな僕の視線に気づいたのか、チラチラこちらに視線を向ける。
「あ、あの……あんまり見ないでください……」
「どうして? 照れてるはこんなにも可愛いのに」
「や、やめてください恥ずかしいから……」
ごめんね、せっかく訴えてくれてるけど、目をぎゅっと瞑ってか細い小さな声で言ってるんじゃ、逆に見つめ続けたくなっちゃうよ。
でもあんまりイジメたら可哀想かな、そろそろ聞いてあげよう。
「わかったよ、ごめんね」
「いえ、こちらこ……んんぅ……」
お詫びのキス。
の口から漏れる声に頭が痺れる。
時折、僕も思わず声が漏れて、の声とシンクロしたりもして。
二人だけの時間、二人だけの空間、二人だけの想い。
とても幸せで、何にも代えがたいもの。