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よるがあけるよ

第1章 常闇のアンドロイド


10Dの疑問に14Oが短く首を振る。
「いえ、修理自体は依頼してから1週間で完了していたそうなんですが、この数ヵ月は別のバンカーの倉庫に保管されていました。発注先をこことは別のバンカーの開発部にしていたのですが、完成後に処理を間違えたらしく全く異なるバンカーに送り届けられたそうで」
『何だか今更だねぇ。』
「でも見つかって良かったです。件のバンカーの倉庫番が持ち主を調べてくれなければ、いつまでも戻って来なかったでしょうし……。あ、今の仮のゴーグルは私に下さい。こちらで処分しておくので」
14Oからゴーグルを受け取り、今着けているものと替える。
新品同様になった昔のゴーグルは何だか他人の物のようだった。
慣れない感触に少し不満を抱くも、仕方ないといった様子で10Dは外した方のゴーグルを14Oに手渡す。
『新しいゴーグルありがとね、14O。』
「はい。ではまた後で連絡しますので、早く地上に向かってください」
用件は以上です、と14Oはさっさと席に戻ってしまった。
オペレーター達は担当機体の管理以外にもやることがあるから、皆それ相応に忙しそうだ。
素っ気ない14Oの振る舞いに納得しながら10Dは格納庫に向かう。
『ねぇ、ポッド。』
廊下を歩きながら10Dがポッド107に話しかける。
『ポッドの予想当たってたね。』
「回答:10Dの迷い癖の対策について前々から司令官に相談を受けていた。それに対して当機ポッド107がGPSの搭載を提案」
ヨルハタイプのアンドロイドはブラックボックス信号の反応で位置を特定できるが、位置が近くないと正確な居場所は特定できない。
新しく着けられたGPSであれば遠かろうとブラックボックスの反応がなかろうと、常に場所を掴めるそうだ。
『……ポッドって私の知らないところで結構動いてるよね。』
「回答:当機は10Dを支援する為の随行ユニットである。10Dの問題点を解消するのも役目の内に入っている」
預かり知らないポッドの行動はよくあった。詳細を知らない身としては怪しくも感じられるが、方向案内機能の付け足しやGPS機能などこれまでの全て随行支援対象である10Dの為にしていることなのは間違いない。
「推奨:ポッド107を労う」
『はいはい。いつもありがとね、ポッド。』
ポッド107の本体をポンポン撫でながら10Dは格納庫へのエレベーターに乗り込んだ。



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