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よるがあけるよ

第1章 常闇のアンドロイド


司令室にはモニターからの通知音と、オペレーター達の声とキーボードを叩く音ばかりが響いていた。
「………………」
司令官は手元の端末に映るGPSのマークの位置を確認する。マークは数分格納庫に留まり、やがてバンカーから素早く飛び出していった。
まだ10Dは耳に装着してはいないが、既に機能しているので効果は同じだった。
「方向音痴……か。それだけで済めばな」
騒音のなか一言小さく呟いて、端末を一旦閉じた。
いつか、迷い癖に乗じて脱走を謀るかもしれない。
その時こちら側は「また迷って変な所に行ってしまっている」としか思わないだろう。
そうなっては遅いのだ。狡猾さなど今の10Dからは微塵も感じないが、可能性があるならば出来る限りの対策はしなければ。
ここのバンカーは隊員が少ない。1人居なくなっただけでもかなりの痛手になる。
自身を慕い日々任務を忠実にこなしてくれている部下を疑うのは気が引けるものだが、仕方がないのだ。
10Dの身の安全の為にも、裏切ったときの早急な対処の為にもこの機能は必要なのだ。
「(……悪く思うなよ)」
司令官は胸の内でただ一度、そう唱えた。



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