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よるがあけるよ

第1章 常闇のアンドロイド


ばいばーい、と10Dは手を大きく振って5Bを見送った。
そして自分の目的を思い出し、早く行かなければと閉まりかけのエレベーターに駆け込んだ。
降下したエレベーターを出て、緩やかな坂のような廊下を走る。
バンカーは長い廊下が1本で繋がっている円形の基地だ。司令室まではそんなに距離はないはずだが、なかなか着かない。
円の中心から見て格納庫と司令室の最短が90度の角度で済むところを逆方向に進んでしまい、結果180度分も余計に走ることになっていた。
それを知らずに、バンカーがいつの間にか拡張されたのではと考え10Dは無駄にワクワクしながら司令室に入る。
リフトを下りて司令官まで近寄る。
『司令官、ただいま戻りました。10Dです。』
大きなモニターを見上げていた司令官がゆっくりと振り返り、10Dに目を向けた。
「あぁ、待っていたぞ。渡す物があるんだ」
司令官は近くのオペレーターに何やら小箱を持って来させ、蓋を開けた。
10Dが気になってそれを覗き込もうとする。
『それは一体……?。』
「イヤーカフだ。GPS機能が搭載されている。これからはこれを耳に付けて活動しろ」
目隠しで覆われるから滅多に落とすこともないだろう、と10Dに箱ごと渡した。
「お前はすぐに道に迷って帰って来れなくなることが多いからな。いざという時、仲間が助けに行けるように動向が分かる状況にしておきたいんだ」
『ありがとうございます。……なるべく迷わないよう気を付けます。』
受け取ったイヤーカフの箱をそっと撫でる10Dに司令官が続ける。
「これからは物資の調達だけでなく、周辺環境の調査や特殊な機械生命体の排除なども任せようかと考えている。方向音痴以外はそれなりに褒められたものになってきたのだし……期待しているぞ」
『はい、ご期待に添えるように尽力致します。』
そう告げると、司令官はまたモニターに向き直った。
話は終わったと10Dはその場から離れる。
リフトに乗って出口に行こうとしたところ、オペレーターの活動スペースから14Oが声を掛けてきた。
手招きで「こちらに来い」と指示している。
『どうしたの?。』
階段を下りて14Oの元へ行く。14Oは手に戦闘用ゴーグルを持っていた。
「10D、この前修理を依頼していたゴーグルが先ほど戻ってきたので渡します」
『この前って……半年前じゃん。そんなに時間かかったの?。』
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