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よるがあけるよ

第1章 常闇のアンドロイド


レジスタンスキャンプに着くと、真っ先にキャンプのリーダーを担っているアイビスの元へ行く。
『アイビス、またバンカーに打ち上げる物を持って来たよ。』
女性型アンドロイドのアイビスは一斗缶に焚かれた火に当たって本を読んでいる最中だった。
視線をこちらに向け、部屋の隅にあるコンテナを指差す。
「あぁ、そこに入れておいてくれ。急ぎではないんだろ?」
『そうだよ。でも仲間や機材を作るための資材でもあるから早めが良いかな。』
ポシェットから収集物を出して数を確認する。
綺麗なケーブルとナット、新品のネジとボルトがそれぞれ30個。あとは先程集めたばかりの形状記憶合金が7個。袋にまとめて入れてからコンテナに収めた。
『じゃあ、また来るね。』
手を振って部屋から出ていく。
それをアイビスは無言で見送った。
10Dの行き来しているバンカーのヨルハ隊員のいくらかはここのレジスタンスキャンプを頼りにしている。
主に物の売買や所有物の保管、休憩の場所など様々だ。
勿論10Dのようにバンカーへ物資を届ける役目の代行を頼んだりすることもよくある。
代わりとして賃金を要求されたりレジスタンスの雑用や依頼を任されたり、機械生命体が攻めてきた時の救援だったりと、お互いを利用し合う関係だ。
バンカーから主に資材集めを任されている10Dがおそらく一番キャンプに馴染んでいるだろう。
ほぼ全員に顔と名前を覚えられているし、10Dもまた彼らの事を個々として認識している。
利用し合う立場といっても、そこそこの信頼は得ていた。
〈オペレーター14Oより10Dへ。進捗はどうですか?〉
『今済んだところだよ。レジスタンスに預けたから届くのはまだ先かな。』
端末に表示されたオペレーターにそう返すと、満足そうに頷いた。
〈今回は思っていたより早めに終わりましたね。あまり迷ってもいなかったようですし、偉いです。この調子で次も頑張ってくださいね〉
迷ったっちゃ迷ったんだけどな……と10Dはここ数時間の出来事を思い返しながらオペレーターの褒め言葉をやや複雑な気持ちで受け取った。
通信を切るとアクセスポイントへ行き、新しいメールを確認する。
『あれっ……渡す物があるから1度バンカーに戻るようにって指令が来てる。』
「推測:新しい装備品」
『装備品……?。』
取り敢えず飛行ユニットをキャンプのすぐ外に呼び、飛び乗る。
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