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よるがあけるよ

第3章 平和主義者


「リーダー、この件どう判断されますか?」
22Eが後ろから付いてきた機械生命体達を気にしながら6Eに問い掛ける。
「今のところ敵性反応は見られないな。無理に倒す必要はない……かと言って生かしておく必要もなさそうだ」
6Eが辺りを見回しながら述べる。害も利も無い機械生命体はどう扱うべきなのだろう。
「取り敢えずもう少し様子を見よう。どのような結果になろうとも新しい個体データを入手出来るだろうし、マイナスにはならないさ」
「そ、そうですね……」
いっそ蹴散らしてしまいたいと思っている22Eは期待とは違う6Eの言葉に俯きながら返事をする。
「きゃー! このハリボテ壊し甲斐がありそう!」
22Eから少し離れた所で、ボコッと何かが凹む音がした。
列車の先頭付近で42Bが愉快そうに車体を蹴ってはしゃいでいる。
「オヤメクダサイ! オヤメクダサイ!」
「壊サナイデクレー!!」
42Bを阻止しようと機械生命体が集まる。
「あはっ、喋る機械生命体なんてキモいだけかと思ってたけど、こんな面白い反応とかしてくれるんだ~! 楽しーい!」
そう言って車体が凹む程度に力加減をしながら42Bがボコボコと殴る蹴るを繰り返す。
「くぉらッ!! 中が揺れて居心地わりーんだよ! ちったぁ気ぃ遣えやゴミカスが!!」
車体の中に居た17Bが出て来て、42Bに怒鳴り散らした。
「いや~ん、そんなに怒ったらホウレイ線が深く刻まれていつも以上にドブスになっちゃうよ~?」
「チッ、戦えりゃ顔なんてどーでもいいんだって毎回言ってんだろ性悪女!」
どちらも喧嘩腰で口汚く罵り合いながら距離を詰める。
お互いの胸ぐらを掴み合って、今にも殴り合いが起きそうだ。
「推奨:早急な和解。アンドロイド同士の諍いは無意義である」
17Bの随行支援ユニットであるポッド029が両者に呼び掛ける。
「ポッド手伝え、この糞アマをスクラップにしてやる」
「やれるもんならやってみれば~? 壊されたら一足早くバンカーに戻ってアンタの残りの義体全部に悪戯してやるんだから」
双方のポッドがオロオロしながら見守っていると、そこに6Eが割って入った。
「いい加減にしろ。任務とは関係ないことをするな」
2機は6Eから武器を持つ手を掴まれ、不服そうに武器を下げる。
「喧嘩しないようお互い距離を置け。そうすれば調査に集中出来るだろう」
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