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よるがあけるよ

第3章 平和主義者


普段感情が抑制されているからこそ、気持ちが入り易く何かしら相手との繋がりを必要以上に求めるのかもしれない。
ただ一緒に居たい。ずっと側を離れたくない。何なら同じ時に死にたい。
人類もそうだったのだろうか。子孫繁栄の目的以外に他者を必要とする概念があったのだろうか。
一緒に居たいとも離れたくないとも同じ運命を歩みたいとも違うが、自分に良くしてくれる相手へ何か施しをしたいと考える心はそれと同類になるんだろうか。
……14Oは?。
ふと思った。14Oはどうなんだろう。あの髪にくくりつけたゴーグルも似たような意味を持つのではないか。
例のヨルハ同様に14Oも繋がりを求めているのかもしれない。
10Dは腕を組み俯きながら唸る。
「オネーチャン、ドウシタノ?」
『うーん…ねぇ、君にとって家族って一体何?。』
気に掛けてくれる機械生命体に参考がてら質問をする。
無垢そうな子からどんな意見が聞けるんだろう。
「家族ハネ……タカラモノ! トッテモトッテモ大切デ大好キナモノ!」
『……宝物?。』
「ソウ! ココニ来ルマデ僕ハ、ズット寂シカッタ。友達ハタクサン居タケド、僕以外ネットワークニ繋ガッタママダッタカラ全然馴染メナカッタ。デモ今ハモウ違ウンダ! 家族ガ居ル! 支エ合ッテ守リ合ッテ、愛シ合ウ!「オハヨウ、オヤスミ、イッテラッシャイ、オカエリ」ッテ、チョットシタ言葉ノ掛ケ合イガ堪ラナク愛シインダ! 」
興奮した様子で機械生命体が語る。
なんだ、その程度の言葉の掛け合いならアンドロイド同士でも多少親しければ交わしているじゃないかと10Dは最初思ったが、どうにも違う。
堪らなく愛しいとは感じた事がない。そう感じる程に機械生命体達はお互いを強く尊重し合い丁寧にコミュニケーションを図っているのか?。
それともアンドロイドとは異なる思考を持っていたりはしないのか。
はたまた自身が他のアンドロイドより鈍いのかもしれない。
10Dは情操に関して機械生命体より劣っていると自覚してしまい眉間に浅く皺を寄せる。
自分にとっての仲間は、機械生命体の思うような家族の存在には釣り合わない。
ただ、人類の為に戦うことを運命付けられた同じ境遇の兵士というだけだ。
大事な個体など自分に深く関わりを持つほんの数体のみ。だがその数体に対してすらあまり感情的になれない。
同じじゃない。仲間と家族は全く同じものじゃない。
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