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よるがあけるよ

第3章 平和主義者


『あっ、司令官だ……こちら10D、いかがしました?。』
〈廃墟都市担当の10Dに告ぐ。先の駅廃墟で確認された特殊な機械生命体の調査に、少数部隊を送ることが決まった。到着の予定時刻はそちらの地上時間で15時30分頃になるだろう。その時刻に駅廃墟の問題の場所で待機しておいてくれ〉
思っていたより調査に入るのが早いな、と10Dは思った。
調査目的なら緊急事態でない限り一週間は放っておかれるものだった。
『承知しました。駅廃墟内は多少いりくんでいるんですが、到着したメンバーを案内しなくても大丈夫なんですか?。』
〈それについては10DのGPSがあるから問題ない。マップで確認すれば辿り着ける筈だ。だがそれには10Dがちゃんと目標地点に待機しておく必要がある。分かっているな?〉
『任せてください。事前に友好的な機械生命体達と合流しておきます。』
司令官と通信を終わらせ、10Dはポッドに確認する。
『いま何時?。』
「報告:現在地点の時刻は9時28分42秒。予定の時刻まであと6時間1分18秒」
『あとちょっとしかないね。14Oに会いに行く時間はもう無いか……。』
出鼻を挫かれたとばかりにがっかりした様子で10Dは項垂れるが、すぐに気を取り直した。
『……早い内に駅廃墟のホームに行こうか。何か変わってるかもしれないし。』
列車がどうなっているのか気になり矢印に向かって走っていく。
たまに襲いかかってくる機械生命体を撒きながら駅廃墟へ急ぐと、ホームの方からゴウン……という重厚な音が響いた。
10Dは改札を抜け階段を駆け上がる。
列車と、それに群がる機械生命体達を確認する。
機械生命体の数は最後に見たときよりもまた増えている気がした。
「ア、オネーチャン!」
本を抱えた機械生命体が飛び跳ねてこちらに向かってくる。
『列車は動いた?。』
「少シ進メルヨウニナッタヨ!」
機械生命体に手を引っ張られながら10Dは列車に近寄る。
「経過ハ順調デス……アナタがコアヲ持ッテキテクレタオカげデ、他ノ皆モ大変喜ンデおりマス」
アリガトウアリガトウと感謝の合唱が一斉に聴こえた。
普段直球で褒められることのない10Dは少し照れくさそうに笑みをつくり頬を掻く。
こんなに友好的な機械生命体と危険のない改造機械生命体なんだからヨルハの仲間達に見せても大丈夫だろう。
どこか誇らしい気持ちでそう思った。
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