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よるがあけるよ

第3章 平和主義者


レジスタンスキャンプに着くと、10Dはヨルハ部屋に行きベッドに座った。
部屋の隅にある小さめのテーブルを近くまで引き寄せ、その上でポシェットの中身を出す。
殆ど錆の付いたものばかりだが何とかなるだろう。ポシェットの内側に残った錆のカスを払い落としながらそう思った。
『蝋燭だけじゃ暗いね。ポッドのも点けて。』
「了解」
ポッドが先程のように手元を明るくしてやる。
10Dが端末を出し、保存していた画像をフォルダから探して表示した。
その画像には意味ありげな形をしている置物のようなものが複数並んでいた。歯車やナットなどの廃棄部品を組み合わせ何かしらのモチーフに仕立てた作品らしい。
『14Oに何かあげるって話があったよね。何すればいいかよく分からなかったけど、手作りするのも良いかなって思って……。』
「賛同:頑張れ」
『うん、頑張る。』
何の形にするかを決める為に候補を絞ろうとするが、画像に写っているモチーフではいまいちパッとしないらしく少し困ったような顔をした。
『……ねぇ、どの形が良いと思う?。』
「推奨:既存の情報内での模倣ではなく、画像の方法を応用して別の形を生み出す。報告:14Oは以前花に興味を示していた」
『そっか……でも花って独特な曲線ばっかりだから円形の歯車とかじゃ再現は難しいかな。金属板とか曲げたり切ったりしてみよう。』
10Dは先日捕まえてそのまま放置していた魚型の機械生命体も数匹出して分解し始めた。
『あ、あと花の種類も決めないと。ポッド、14Oは何の花が好きとか言ってた?。』
「回答:好きと言っていた訳ではないが、百合のような形の白い花の画像を暫く見つめていたのは見た」
『じゃあそれにしようか。その花と同じ画像を探して。』
「了解」
すぐにポッドが画像を表示した。
『へぇ……こんな形した花もあるんだ。画像は一応保存しといてね。』
早速10Dが画像の花を見ながら構想を練っていく。
不器用なものだから普段はこんなことはしたがらない筈だが、14Oの為に一肌脱いでいるようだ。
人類はこのような行動を「いじらしい」と表現していたな……といつか見たデータベースの記録を思い出しながら、ポッド107も手伝って作業を進めた。


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