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よるがあけるよ

第3章 平和主義者


『……確かに、全ての機械生命体の自我データが平穏を求めているとは限らないもんね。でもそんなことはやってみなきゃ分からないじゃん。走れば良いし、そうでなければ壊すよ。』
「推測:もし暴走した際、分類としては大型に含まれる。10Dのみの1機では片付けられそうにない」
軽快な足取りで改札を通り抜ける10Dの後をポッド107が説得しようと追いかける。
危険なことをしようとしている随行対象に忠告するのも役目の内だが、強制的な制止は随行支援ユニットとしての役割を越えてしまう。
「……推奨:友好的な機械生命体の存在を司令官に報告する」
ポッド107は10Dの背中にそう投げ掛けた。
それを聞いた10Dはどこか嬉しそうな顔で振り返り『分かった。』と一言返す。
駅廃墟から出て少し立ち止まる。
『ポッド、キャンプまでの道標を出して。』
「了解」
一刻も早く戻ろうと10Dは走り続け、やがてレジスタンスキャンプに辿り着いた。
ヨルハ用の部屋に入り、バンカーの司令官に通信を繋ぐ。
『10Dから司令官へ。駅廃墟構内で、友好的な機械生命体の集団が居ることを確認しました。』
「報告ご苦労。友好的な機械生命体か……まだまだ機械生命体には謎が多い。今度詳しい調査の為に少数の部隊をそちらへ送る。10Dもその時は現場に居てくれ」
『はい、承知いたしました。』
短い通信を終えると、10Dはすぐにベッドの下に手を突っ込んだ。
手探りで機械生命体のコアを掴み、引っ張り出す。
少し埃が付いてしまっているのを払い落としながら外に出た。
『このコア、売らなくて良かったね。』
「推奨:早急な売却」
ポッド107が10Dの手からコアを拐い、店の方へ飛んで行こうとする。
『あー、まだ心配してるんだ。でももう約束しちゃったから絶対に売らないよ。』
暫くの追いかけっこ末なんとか機械生命体のコアを奪い返すと、10Dは諦めたポッド107と共にキャンプの外に出て再び駅廃墟を目指した。



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