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よるがあけるよ

第3章 平和主義者


4つの出口にそれぞれ2つずつ数字が乗り場ごとに割り振られている。全部で8つの乗り場があるらしい。
機械生命体が上る階段は目の前の3、4番乗り場だ。
気付かれないように一定の距離を保ちながら進む。
上りきった機械生命体が見えなくなると一気に駆け上がり、10Dはおそるおそる外の様子を確認した。
幅8メートル程の道があり、30メートルから先は途切れている。その道は高い段のような形状になっているようで、道から外れた所はよく見えないが、自身の身長くらいの深さはあるのではないかと10Dは推測する。
『何ここ……。』
「回答:プラットホーム。旧人類はこのホームと呼ばれる場所から列車に乗車していたという記録がある」
『こんな所から……?。』
カシャンカシャン、と機械生命体の歩く音が重なって聞こえた。微かに話し声も耳に届く。
どうやら機械生命体は複数この場所に集まっているようだ。
「だいぶカタチになッテきたナ……」
「アア、思エば長カッタ」
耳を澄ますと、そんな会話が聴こえてきた。
一体何のことだろうと気になって10Dは顔を覗かせる。
少し離れた所に数体の機械生命体がいて、ホームの外には見慣れない大きな影があった。
機械生命体達の元に先程の機械生命体が近寄り、手に持っていたガラクタを置いた。
「今回ハコレダケダ」
「ゴクロウ、コレデまタ作業ガ再開できル」
「サッソク取り掛カロウ」
機械生命体達は各々ガラクタを拾うと、側にあった大きな影に充てがい金槌で打ち付けた。
トンカントンカンと絶え間ない騒音が暫く続く。
『何作ってるんだろうね……。』
「推測:旧人類の文明の模倣。あれは列車の外見を真似して作られた物だと思われる」
『じゃあ、特に兵器とか危ない物を作ってる訳ではないんだね。それなら簡単に倒せそう。』
そう言って10Dが武器を手に物陰から出る。
近寄ると、機械生命体達は気配に気付きこちらを見た。
「ア……ア……」
金槌の音が途絶える。
「皆ノモノ!アンドロイドだ! 隠レロ!」
機械生命体の内の1体が叫び、他の機械生命体も一斉に動き出す。
『え……襲ってこないの……?。』
背を向けて撤退していく機械生命体の様子に唖然とし10Dは構えていた武器を下ろす。
「逃ゲロ! 退ケ!」
「アンドロイド、怖イ!」
ガシャンガシャンと騒がしい音を立てながら、機械生命体達は列車の中へと入っていった。
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